メンバー・ゲスト

日本のメンバーシップのゴルフ場で、
もっとも重要なイベントといえば、やはり
3大クラブ競技でしょうか。

もちろん、アメリカのゴルフ場にも
クラブ競技はあります。月例、クラブ選手権、
ストロークプレー選手権など。

でも、こちらで一番大切はイベント言えば、
「そりゃ、”メンバー・ゲスト”だね。」と、
ほとんどのクラブプロ、そして、メンバーたちが
口をそろえます。

「メンバー・ゲスト」とは、文字通りメンバーがゲストを
招待して、2人1組のチームで行われる競技で、
大体ベストボールで争われます。
どうしてこんなにこのイベントが大切かというと、
メンバーにも、コースにもメリットがあるからです。

メンバーにとっては、「僕のコースはこんなに素晴らしい
コースなんだ。従業員の接客もなかなかいいだろう」と
自分のコースを友達に自慢できます。

また、年に1回とはいえ、毎年のイベントなので
同伴するゲストもメンバーなりの考えで
チョイスするようです。

一方、コース側からすると、「私たちはメンバーを
こんなに大切にしています。よろしければ、私たちの
コースへ入会されてはいかがですか」と
メンバー、ビジター双方へのアピールの場になります。

コースとしては、1年でいちばん力を入れている
イベントだけあって、賞品にも気を遣っています。
上位入賞チームへの賞品はもちろん、ニアピン、
ドラコン、センタードラコン(フェアウェイの中央に
近い人が勝つ)、パッティングコンテストなど、
とりあえず、ゲストが何らかの賞を獲得できるように
するのです。

そして、アメリカらしいのがその賞品です。
コース内のプロショップ専用の商品券を利用している
ケースがかなりあります。

これは、プロショップの売り上げをアップさせるという
意図もありますが、それだけではありません。
コースのロゴ入りボールやシャツ、帽子などを購入する
ことで、ゲストたちのコースでの印象づけにもなります。

また、ゲストがほかの場所でそれらのグッズを使ってくれる
ことで、そのコースの宣伝にもなると期待しているのです。

このイベントをきっかけに、ゲストが入会するケースも
かなりあるようです。

ノースカロライナ州の名門コース、Kannapolis country Club
のヘッドプロ、アラン・クレスもこう言います。
「メンバー・ゲストの時は、いつもとても緊張するんだ。
私たちのコースは、あえて新しいゲストを勧誘する必要はないけど
メンバーたちはこの日をとても心待ちにしている。
彼らを失望させないように、我々スタッフは全力を上げなければ
ならない。クラブ選手権も大切だけど、このイベントが
いちばん大切だよ。」

このイベントをメンバー獲得のチャンスと考えるかどうかは
そのコースによりますが、メンバーとコース側が
自分たちのプライドをかけてゲストにコースを紹介する。
だから、このイベントがアメリカでは一番大切なようです。

日本でも、3大競技ほどではないにしても、
準公式競技として実施してみてはどうでしょう。
でも、ここまでメンバーとコース側がゴルフ場に
プライドをもてる関係は羨ましいですね。

(by REX   ゴルフ場セミナー2005年10月号「REX倉本のアメリカンな話」より)