レインチェック

8月下旬、ニューオーリンズを壊滅させた
「カトリーナ」に続いて、9月には同じくらいの
規模の「リタ」と、相次ぐハリケーンの襲来で
米国では自然の猛威を、みんな改めて感じています。

これほどの被害が出ると、
正直ゴルフどころではないのですが
通常でも天候とは切ってもきれないのが
ゴルフです。

例えば、フロリダの夏は本当に暑く、
朝9時ぐらいから気温は30度プラス。
そして、15時くらいになるとピカ、ゴロゴロ、
ジャバ―とスコールがほぼ毎日やってきます。

日本にも梅雨があるように、雨とはとても縁のある
地域です。

ゴルファーとしては、できたら雨の中ではプレーを
したくありません。でも、今日の天気は?ひょっとして
大雨?もしかしたら降らないかな?どうしようかな。
ゴルフしたいし、でも雨の日のゴルフは嫌だし…。

そんなゴルファーのために
アメリカでは「レインチェック」というシステムが
導入されています。

日本のゴルフ場でも、一部にはにたようなサービスが
出てきたと聞きましたが、「レインチェック」は
もともとプロ野球で導入されたシステムらしく、
早い話が料金の払い戻しです。

野球場は野外が多く、雨(大雨)の場合、試合は中断、
そして、その雨が止まずグランドの状態も良くならず
プレーが再開できなかったら、その試合は中止となります。

その時に観客に配るのが「レインチェック」です。
それは、その試合の再試合の時の入場券、もしくは、
入場料の払い戻しです。

このシステムをゴルフ場に導入しているのです。
特に乗用カートプレーが大半を占めるアメリカでは
雨中のプレーはプレーヤーたち以上に、
コースにとっても厄介なものです。

水が浮いたうえを走る乗用カート。
芝がめくりあがります。
それに、もし深いターフを取るプレーヤーがいたら、
芝は恐ろしいほど深く削り取られ、その部分は
恐らく修復不可能になります。

雨はコースにもプレーヤーにも厄病神なのです。

「レインチェック」のシステムは各コースでいろいろですが
大体のコースでは、1~5Hでプレーをやめた場合は全額返金、
6~13Hでは半額返金、14H以降は返金なしとなっています。

返金と書きましたが、実は現金を返すことは
あまりありません。

リゾートコースなど、お客さんの大半が遠方から来ている
コースでは返金する場合がありますが、
通常のプライベートコース、または、セミプライベートコース
では返金の代わりに「レインチェック」、つまり、
雨の日の小切手、要するに次回のゴルフで使用できる割引券を
発行します。

全額のチェックなら次回のプレー代はなし、
半額なら50%オフ。いずれにせよ、1度もらったお金は
返さないというのが基本です。

でも、プレーヤーとしても、その割引券をもらえば
次回のプレーもこのコースで、プラスアルファ―の料金で
(割引)プレーをしようかな、同じ仲間とのプレーなら
その続きを、と新たな18Hのプレーを再現しようかとなります。

以前に書きましたが、ゴルフ場とプレーヤーがともに
「WIN WIN Situation」となるわけです。
そして、雨予報の日、二の足を踏んでいる
ゴルファーの背中を押して、ゴルフ場へ足を運ばせる
動機づけになることも言うまでもありません。

(by REX  2005年ゴルフ場セミナー11月号「REX倉本のアメリカンな話」より)