第9話 トーナメント解説業との出会い

さて、これからゴルフとどう向き合っていこうかと
少し自分を俯瞰して眺めていました。
ゴルフが良くなっているところ、
どうしてもツアー選手に追い付かないところ、
(どうやって追い付こうかと考える気力はまだ少しあった)
あきらめきれない気持ち、
現実の生活も受け入れなければならないこと・・・。

そんな時、知り合いからある問い合わせが舞い込んだ。
米国Golf Channelでトーナメントの解説をしてみないか。

今住んでいるフロリダ州オーランドにあるスタジオから
日本人視聴者に向けて海外の試合を放送しているので
その試合の解説者としてやってみないか、
ということだった。

!!!

解説・・・コメンテーター

はじめはピンとこなかったのだが
ちょうど自分のことを少し冷静に見つめなおしたかった
タイミングにいたことや、
試合の解説をすることで何か自分のこと、ゴルフのことを
違った方向から見る機会になるのではないか
と思いこのオファーを受けることにしました。

ただ、しゃべること、それも公共の電波上で話すなんてことは
初めてのことで自分にそれができるかどうかなんて
全く予想もつきませんでしたが
来た船に乗ろう!ではないが、
もう、やるしかないじゃないか。

そして、2007年の夏にGolf Channelのコメンテーターとしての
仕事を始めることになりました。

=手探りではじめた解説業=

ゴルフに関するコメントを発することにはほぼ問題は
ありませんでした。
大学時代をアメリカカレッジゴルフで過ごしていたので
PGA Tourで今戦っている選手のことも良く知っていたし、
European Tourは自分がプレーした経験もあったし、
この数年間自分のゴルフで悩み試行錯誤して蓄えた数々のスイング理論や
いろんなプレーヤーたちのゴルフを見る目もすでにある程度
養っていました。

いやー、すごく楽しくこの仕事を始めることができました。
今思えばタイミングもすごく良かったのかもしれません。

もちろん、うまくいかないこともたくさんありました。
活舌が悪くて話すプロの人たちからダメ出しもたくさんいただきました。
視聴者からも辛口のフィードバックをもらって
かなり落ち込んでしばらく話すのが怖くなったことも少なくありません。
とにかく、ゴルフと一緒、試行錯誤の繰り返しがずっと続きました。

また、サラリーマン生活は生まれて初めてのことでしたので
一つの組織に属して働くことがものすごくストレスに感じてしまいました。
プロゴルファーは基本、自分で付き合う人を選ぶことができましたからね。
超マイペースな生活をしていたんだな、とあらためて実感(笑)。

良かったことも。
サラリーマンは予選落ちがない!

えっ、そこー!?

これは正直、気分的にホッとしてしまいました。
ツアープロとなってもプロゴルファーは毎週毎週予選落ちという
プレッシャーにビビりながらゴルフをする面もあるのは確か。
試合の解説は週末も必ず仕事があります。
これは有難いですよ。

2018年現在、解説業を始めてから10年が経ちました。
始めたころは10年間もこの仕事ができるとは
全く想像もしていませんでしたから、解説という仕事との出会いが
今ではすごく有難かったなぁ、と心底思えます。

Golf Channelではコメンテーターとしてのたくさんの経験を
させていただいてます。

日本ではゴルフネットワーク、WOWOWなどで日本のみなさんとの
接点を持つこともできました。

今年は、NHKの現地レポーターとしてPGA TOURからゴルフをお届けする
機会もいただきました。

そして、2年前には50歳になりましたので、
懲りずにシニアツアー参戦を目指して
数年前からゴルフクラブを真剣にまた振り始めています。
実際の試合に出て肌で試合のゴルフを感じることで
解説の仕事にもさらに幅が出ることを自分でも期待しつつ
これからも、ゴルフに仕事に、楽しんで邁進していきます。

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長々とお付き合いください有難うございました。
とあるプロゴルファーの物語として
今後もこの「REXものがたり」を続けていけるように
前進していきたいです。

有難うございました。

(by REX)