乗用カートのニーズ

アメリカのゴルフ=乗用カートです。
日本でも最近は増えているようですけど、
こちらのカートは自走式の2人乗りが主流です。

私が考えるに、アメリカでは2人もしくは1人での
プレーのニーズが圧倒的に多いし、
何と言ってもコース内(フェアウェイ)に乗り入れる
ことがほとんどなので、2人乗りなんだろうと思います。

コース内に入るから、4人乗りより軽い2人乗りのほうが
芝にやさしいというだけじゃなくて、1台のカートを
4人で使うより、2台のカートを3人もしくは4人で使うほうが
プレーヤーにとっては遥かに使い勝手がいいわけです。

思わぬところで2人乗り乗用カートの威力を発揮する
ことがあります。たとえば、プラインドホールです。
どこの国でもそんなホールはあるものです。
ティーショットを打つ時、前の組はどこにいるのかな、
まだセカンド地点なのか、もう少し待とうか、でも、
後ろの組はそこまで来て待っているのに・・・。

そんな時、カートが1組に2台あれば、1台はセカンド地点が
見えるところまで走って、前の組をチェックすることができます。
また、後続組には、1台をティグランドから見えるところに
停めておいて「まだ私たちはプレーしているよ。
打ち込まないでね。」とサインを送ることもできます。

セルフプレーが中心のアメリカのゴルフ、こんな裏技が
自分の身を守るため、そして、プレーの進行を速めるために
使われています。4人乗りカートではちょっと厳しいかな・・・。

4人のプレーヤーが同じくらいのレベル(特に飛距離)とは
限りませんよね。そして、全員同じティーマークで
プレーするとも限りません。そんな時、4人乗りカートよりも
2人乗りのほうがプレーヤーのニーズに絶対にあっています。

2人乗り乗用カートの普及に貢献している事情が
まだほかにもあります。
それは、アメリカではゴルフ場と住宅を一緒に
開発していることが多く、そのコースのメンバーが
自分の「マイカート」を所有して、そのカートで家から
ゴルフ場に通ることがよくあるのです。
プライベートコースではよく見かける光景です。

1組に4台のカート。各プレーヤーが「マイカート」で
コースにやってきてスタートします。
「マイカート」は特注の場合も多く、ロールスロイス仕様、
キャデラック仕様、フェラーリ仕様など、それぞれ
趣向を凝らしています。

自分の家がコース外の人も、ゴルフ場で自分のカートを
管理してもらい(もちろん有料)マイカートでのプレーを
楽しんでいるなんてこともあります。

なかなかお洒落でしょ。
でも、これなら日本のゴルフ場でもプレーヤーへの
サービスでやってもいいんじゃないですか。

今から日本のゴルフ場事情もカートの占める割合は
今後もプレーヤーの高齢化、そして、大衆化とともに
高くなっていくはずです。

電磁誘導式だとちょっと難しいかもしれないけど
自走式ならバリエーションをもっと楽しめると思います。
もちろん、1組にカートが1台なんていう固定観念は
過去のものとなるでしょう。ただのプレー中の足、
クラブを運ぶ道具ではなく、ゴルフを楽しむ道具と
考える時代が来るかもしれませんね。

(by REX   ゴルフ場セミナー2005年8月号「REX倉本のアメリカンな話」より)