US LPGAはアジアンシリーズを終えて舞台をアメリカ、
フロリダ州に移し2018年度の最終戦となりました。

CME Group Tour Championship

レックスにとっても今年最後のツアー解説となりました。
100万ドルを手にしたシンプソンの優勝はお見事でした。
アメリカツアーでアメリカン人選手が勝つというのは
このアメリカの地では選手はもちろんですが応援していた多くの
アメリカ人ゴルファーたちも元気をもらい、
ゴルフ熱も再びヒートアップしそうな勢いを感じました。

そして、

今年の日本人選手たちの活躍もレックスさんに総括してもらいました。

▼音声はこちらから

▼　テキストはこちら。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
ポイント：
最終戦　レキシー・トンプソンの優勝！
2018年の畑岡奈紗、横峯さくら、上原彩子についての総括
新しいUS LPGA Q Schoolシステムで山口すず夏がツアー参戦権獲得！
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

—-US LPGAの最終戦がフロリダで行われました。
レックスさんの女子ツアーの解説もこれが今年最後ということで
お疲れ様でした。最終戦の優勝争いとか、100万ドルのボーナスが
誰の手になるのかということもありましたけど、
勝ったトンプソンについてお話伺えますか。

（REX)　トンプソンの素質ピカ一のものがありますので
今シーズンここまで勝ってないというのが不思議だったという感じでした。
彼女は今シーズンメンタル的にもいろいろと疲れたみたいで
全英女子オープン欠場してリチャージするということもありました。

シーズン中盤のポートランドの試合あたりから
持ち球をフックボールに戻したみたいですね。
それまでシーズン当初はストレート系のボールで
ショートアイアンでも正確性を出すために
ボールの球質を変えていたみたいなんだけど
両サイドのミスが出るということで、
本来のフック系一本やりに戻したところ
自分の本来の姿が戻ってきた、ということを言ってました。

特徴的なスイングなんですが、飛距離、ショットのキレというのは
凄まじいものがありますので、彼女とジュタヌガンが
今からひょっとして一時代を作っていくんじゃないかな、
と思います。

トンプソンはアメリカ人ですので、これでアメリカの
ゴルフ熱というのも少し盛り上がればと思っています。
トンプソンは華がある選手なので彼女がプレーしていたら
ついつい画面を見入ってしまう、それだけ魅力的な選手なので
彼女がこれで6年間毎年優勝を積み上げているという記録が途絶えることなく
また来シーズンを迎えるということで、LPGA全体をみても
良かったんじゃないでしょうか。

—-日本勢、最終戦ではどうでしたか。

(REX)　畑岡さんが見事に頑張りました。
初日いいスタートを切って2日目、3日目と少し失速しましたが、
最終日はまたしっかりアンダーパー。

彼女の今年の飛躍は素晴らしいものがあったと思いますが
世界ランキングも7位まで上げてきてはいるんだけど
やはりトップ5の選手と畑岡選手との差はまだちょっとあるので
それも彼女は感じていると思いますので
今年のオフは身体を一回り大きくして、飛距離の部分、
すべての部分でまたパワーアップが必要じゃないのかな、
と彼女は感じていると思います。

ですから、短いオフなんですが、
ここで重点的にトレーニングを積んで
来年はシーズンを通してトレーニングができるような
環境ができたら、と思うんですけどね。
それにしても素晴らしい1年だったことは間違いないですね。

—-数週間前、TOTOレディースで見事優勝しました。
日本で勝つというのは彼女らしいというか、
何か持ってますよね。

(REX)　持ってますね。
ただ、水を差すわけじゃないんだけど、アジアンスイングというのは
通常のLPGAのイベントよりもなんとなく選手層が薄いですからね。
勝ちやすい試合であることは間違いないんだけど
そんな中で勝つというのは、いかにプレッシャー慣れしているというか
こういうプレッシャーがかかるところでも自分のペースを崩さずに
できる彼女のメンタルの強さが垣間見れましたね。

—-レックスさんが奈紗ちゃんにTOTOの優勝おめでとうメッセージ送ったら
奈紗ちゃんから、ぜひレックスさんが解説しているときに優勝したいです、
と返事が来てたので最終戦も結構期待していたのですが。

(REX)　アジアンスイングではやく一勝を飾りたいって
彼女は勝つのが当たり前と思いながら参戦し始めている。
それだけ自信もみなぎっているし、自信を裏付けるだけの
しっかりしたゲームもできていますので
まだまだ右肩上がりに上がっていくと思いますので期待したいですね。

—-それ以外の日本人選手はどうでしょうか。

(REX)　あー、頑張りましたよ！
野村選手はちょっと体調面で今年一年厳しかったけど
またリセットしてもらいたいですよね。
野村選手は複数回優勝しているのでそのカテゴリーで来年も試合には
でられます。

横峯選手。頑張りましたよー。今回は。
QTで45位内ギリギリでLPGAのメンバーのステイタスをなんとか
維持しての今シーズンのスタートなんだよね。
オーストラリアの今シーズン2試合目で予選通過して
リランキングを上げて、ShopRiteで2位になって、
ほんの少ないチャンスをしっかり生かして
来季の出場権獲得までつなげてきました。
さすが、彼女の執念で実ったんじゃないでしょうか。

ご主人もキャディーとして頑張っていました。
どこまでそれが助けになっているかどうかはそれはわかりませんが
献身的に頑張っていたのは間違いないですね。

ただ、横峯さんというは、LPGAツアーの初優勝を目指しているので
それにむけて、それがかなうまではまだまだチャレンジは続くと思うし
ああいう大ベテランが頑張っている姿を見ると応援したくなりますよね。

—-上原さんは？

(REX)　上原さんは上手くなってるよー！
ボールを打つのがすごく上手になりました。
しかし、パッティングがちょっと今年は精彩を欠きました。
それも、欠くだけの理由が絶対あると思うんですよね。
テクニカル的なところで。
そこをもう一回見つめなおすのも今シーズンのオフの
手じゃないんでしょうか。

これって、ただ単に1年振り返ってみてこういう成績だったということは
必ず何か原因があるはずだから、それを、テクニカルなことを
機械で解析して、それで数値があるから大丈夫、というのじゃなくて
すべて、読み方、ペースのつかみ方、パッティングに臨むまでの
気持ちの整理の仕方、いろんな部分があると思いますが
それをもう一回見つめなおして来シーズンに向かわなかったら
何かのきっかけで良くなる、ということは私はありえないと
思うんですね。これだけ調子悪かったら。
絶対に何か欠陥があるから。
そこを彼女がやっぱり1年を振り返って見つめなおさなかったら
来年も同じような結果になると思いますので
その作業をしてもらいたいですよね。

—-今年のシーズン始まる前にかなり体力面をつけて
臨んだという風に聞いていましたが。

(REX)　そう。去年より飛距離が10ヤード伸びたね。
この年でまた10ヤード伸びるってのは凄いよ。
正確性も基本的にある選手だし、
ショットは本当に良くなっていると思いますよ。
あと本来のパッティングの姿がみれれば、
いつ勝ってもおかしくない、優勝争いにもバンバン絡んできそうですよ。

—-奈紗ちゃんが今突っ走ってますが、それに何人も続いてほしいですね。
今年からUS LPGAのQTのシステムが大幅に変わりまして
1次、2次、そして、最終戦が今まで5日間のプレーだったのが
4ラウンド、4ラウンド（トータル8ラウンド）のファイナルシリーズとなりました。

結果から言うと、日本人では山口すず夏さんが通ってメンバーになりました！

(REX)　あれもね。2次予選からほぼ休みなしでファイナルシーズンに
つながるから、3週連続のプレッシャーの中で彼女は戦ったんですね。
今年は山口さんのほか、日本人選手が何人かチャレンジしましたよね。

—-私も長野未祈ちゃんのお手伝いということで、
2次予選に一緒に行ってました。残念な結果にはなりましたが
未祈ちゃんは凄く明るくて、アメリカにも向いてる性格なので
もし先々興味があるならこちらでプレーしてほしいなって
心から思えた印象を持ちました。

(REX)　そうですね。奈紗世代の子たちがアメリカツアーを
目指して戦い始めた、というのが私は何よりも嬉しいですよね。
今まで日本ツアーで17歳だから年齢的なことで受けられないから
アメリカツアーを受けようって子は何人かいたんですが
今回の山口さんのように、アメリカツアーに参戦することが
大目標でそれを目指してやってるって子が今回出てきた。
そして、今からも出てきてほしいんですね。

日本ツアーを最終目標でやっていたら、もちろんいいツアーなんですが
何かもったいなさすぎますよね。
このアメリカツアーに参戦できないわけじゃないんだから
そういう志がある子はぜひ参戦してもらいたいし
日本ツアーである程度頑張ったら、こちらのツアーに来るという
横峯さんしかり、上原さんしかり、そういう選手が
たくさん出てきてほしいですよね。
じゃないと、今の日本のツアーというのは、
華がないというわけじゃないけど
戦っている内容がこちらのLPGAツアーとの実力差が
毎年毎年でてますので、流れを変えるうえでも
世界に目を向ける選手が出てきてほしいですよね。

—-これからグローバル化すると思いますので世界に出てくる
選手も増えてくるんじゃないかと想像はしていますけどね。

(REX)　アメリカや世界のツアーのことを思いもしてない選手が
ほとんどだからね。それは情けなさすぎますよね。

—-そういう意味でも、こちらのツアーのことを放送でいろいろと
伝えてもらえる、その役目をレックスさんがやっているので
ますます来年からも頑張って、こちらのツアーの醍醐味、面白さを
どんどん伝えていってほしいです。
有難うございました。

（聞き手：Miho）