USLPGAルーキーの試練?



前回、USLPGAツアールーキー諸見里しのぶプロのハードな1週間を紹介しました。
テレビの画面からは見えない選手達の日々の取り組みは今も続いています。
私は今回ルーキーの選手とともに行動していることもあって、
彼女達ルーキーがツアーで活躍するまでの道のりはそんなに容易ではないことをそばにいてとても感じました。
なぜなら、LPGAはルーキー達をとても歓迎してくれますが、ルーキーならではの試練も待っているからです。
例えば、実際ツアースケジュールを一緒にこなしていて特に大変だと思うことは、
ルーキー達に与えられる試合のスタート時間です。


各試合の出場人数は140人前後ですが(試合によって変わる)、
初日と2日目のスタート時間は午前スタートグループ(7:00am〜)と
午後スタートグループ(12:00pm〜)に分けられます(決勝ラウンドは成績順)。
初日に午前スタートした選手は2日目は午後スタートになります。
反対に、初日に午後スタートした選手は2日目は午前スタートになります。
一般的に、マネーランキング上位者などのスター選手たちはゴールデンタイムと言われる午前だったら9時ごろ
、午後だったら12時ごろのスタート時間が与えられます。
けれども、ルーキー選手や成績の悪い選手が与えられるスタート時間は
早朝と午後の最後のほうの時間2:00pm以降になるのが通例になっています。
このスタート時間の組み合わせであまり嬉しくないのが、
初日午後スタート、2日目午前スタートなのです。特にルーキーにとっては最悪です。

ここで平均的な選手のスタート時間のスケジュールを見てみると、
初日1:00pmごろスタートしたとするとプレーのテンポの遅いLPGAでは18ホールプレーするのに
およそ5時間から5時間半かかるので5:30pm過ぎにプレーが終了します。
その後、その日の反省もかねた練習を数時間してコースを出るのが7時ごろ。
ホテルに戻って食事などをするとあっという間に10時になります。 次の日のスタートが8:30amとすると、
だいたい選手はスタート時間の3時間前には起きて準備をするので起床は5:30am。
平均でも睡眠時間は6時間くらいしかとれません。

ところが、ルーキーたちに与えられるスタート時間は、初日の午後2:00〜2:30pmごろ。
そして、2日目が早朝7:00〜7:30am。すると、同じようにスケジュールを見た場合、
初日にホールアウトできるのが7:30pmごろ。そして、日没まで練習をしてコースを出るのが8:30pm過ぎになります。
この時点で次の日のスタート時間まで10時間ほどしかありません。
翌日、スタート時間の3時間前に起きるとしたら4:00amに起床となり、逆算して十分な睡眠をとりたいと思うと
寝るのが遅くても10:30pm。すると、コースを出てから寝るまでの時間が2時間ほどしか残っていません。

諸見里プロの場合もよく(ほとんど毎週)このパターンのスタート時間になりますが、
こんな日は決まって時間を節約するためにケン○ッキーなどのファーストフードでテイクアウトをして、
ホテルで会話も少なくダッシュでお腹に詰め込み、即シャワーを浴びて、即ベッドに入ります。
日本だとごはんとおかずが入ったお弁当などがどこでも買えるのでしょうけど、
アメリカではファーストフード系のものしか速攻で口にできるものが見当たりません。
レストランでゆっくりと食事をしている暇はありません。
翌朝にはもう4:00amに起床してホテルを出発するまでにランニングなどで体も動かさなければなりません。
初日のラウンドが済んだら、プロも私もやけに気合いを入れてひとつひとつの行動を迅速にこなします。
気合いを入れないとすぐに時間が過ぎてしまうのです。
さすがに最初の数週間はこのスケジュールがとてもきつく感じました。
ゴルフをしない私でさえ大変に思ったのですから、プロはもっときついのではないかと思うのですが、
諸見里プロは若いから平気なのか、あえてしんどいと言わないようにしているのか、
悲鳴も上げず淡々とスケジュールをこなしていました。

ちなみに、スター選手たちは午後12:00pmごろ、そして、翌朝は9:00amごろのスタート時間が与えられます。
4〜5時間の時間の余裕が生まれます。実際、毎週毎週試合をしているとこの時間の差がとても大きく感じられるのです。
ルーキーは、まずこの試練を乗り越えて成績を出して、
ゴールデンタイム枠にスタートできる位置に這い上がらなければなりません。
宮里藍プロも、もちろんルーキーとして同じ条件のスタート時間でプレーしていましたが、
何度かトップ20位入りを繰り返して徐々にゴールデンタイムグループに仲間入りをしました。
ツアーに慣れてきたこともあると思いますが、このゴールデンタイムに入ってプレーする機会が多くなったことも
今の活躍につながっていると思います。


ゴルフファンとして見ている側では、スタート時間なんてあまり考えることもありませんが、
選手にとっては結構気になることなのです。
先月、諸見里プロが日本に一時帰国をして日本のツアーに数試合出場しましたが、
その時のスタート時間はいわゆるゴールデンタイムでしたね。
ルーキーであってもそれだけ日本では注目度が高い選手なのですね。
悲しいかな、諸見里プロはまだアメリカではこの試練から脱出できていませんが、
このきついスケジュールでも絶対に良いスコアーを出すぞ!と最近では楽しめるようになってきているので、
身も心もタフになりつつあるプロの戦いを見守っていこうと思います。



(by 管理人 2006/08/25)


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